-
1958
署名人
早稲田演劇賞/テアトロ演劇賞 受賞
『テアトロ』1958年11月号,『早稲田演劇』第5号
明治17年頃、国事犯官房の一室。立憲運動に身を捧げた憂国の士二人と「署名人」という奇妙な職業をもった下賤な男の3人が同室となる。署名人とは新聞雑誌の署名を大金を受け取って肩代わりし、讒謗律に引っかかった場合監獄に入るのが仕事である。
取調官の猫が木に登って降りられないという事件がおき、それにからんで2人の脱獄の目的が明らかになって来ると…。上演データ
上演データ
1960(昭35)年11月30日~12月5日
劇団青俳第8回公演
会場:俳優座劇場
演出:倉橋健/兼八善兼
装置:朝倉攝
照明:篠原久
効果:田村悳
衣裳:今井淑子
舞台監督:佐藤〓(ネへんに己)夫
出演:岡田英次(松田某)/穂高稔(赤井某)/織本順吉(井崎某)/宮田桂(獄吏)/梅津栄(獄吏) -
1958
朝に死す
『集』第1号(同人雑誌。1958年創刊),『テアトロ』1965年11月号
大きな灰色のコンクリートの壁の前。中は工場か何か大きな建物と思われる。そこへ若い男が女を背負ってやって来る。男は20歳、女は18歳。男が仲間を裏切ったことで撃たれそうになったところを、飛び込んできた女に弾があたり、歩けない女をおぶってここまで逃げて来た。男は追っ手から逃げていて、女を置き去りにしようとするが、何故か出来ない。女は男に捨てられたばかり。それまで顔も知らなかったが、片隅で生きるという共通項をもった二人の奇妙な会話が始まる…。上演データ
上演データ
1979(昭54)年9月18,20,22,25,27,29日
木冬社特別公演
会場:渋谷ジァンジァン
構成・演出:秋浜悟史/新田隆
美術:大野泰
照明:日高勝彦
音響:深川定次
出演:金田明夫/村雲敦子/木下浩之/守屋るみ -
1959
明日そこに花を挿そうよ
『早稲田演劇』第6号(1959年号)
引揚者寮の一画が舞台。一階には修造・灸・右太親子、二階にはお米と病気の娘チー子が住んでいる。部屋から一歩も出ないチー子の元に灸は、右太の買ったカナリアをおいて始終出入りしている。
父親の修造は酒代を息子たちにせがむが、灸は絶対に金を貸さずに貯め込んでいる。ある晩、修造はその金を見つけ、呑んで使い果たして帰ってくる。すると…上演データ
上演データ
1960(昭35)年7月
劇団青俳特別公演
会場:俳優座劇場
曲:バッハ
演出:塩田植
装置:高田一郎
照明:篠原久
音楽:石丸寛
効果:田村悳
出演:木村功(灸)/蜷川幸雄(右太)/原知佐子/青木義朗/他 -
1962
逆光線ゲーム
『テアトロ』1967年11月号
とある小さな田舎町の医者の家が舞台。その家には医者と娘、息子とその妻である看護婦。居候の元衛生兵の5人で暮らしている。他にコンゴをもったチンピラのような青年が入院している。
この医者は戦時中、中国で生体解剖を執行したため刑務所に入り、出た後も世間の非難の目を隠れて転々としている。妻は先に死んでいる。息子は植物の研究とやらで、娘は何もせずぶらぶらとこの家に住んでいる。下の娘は2年前男と一緒に出て行った。そして衛生兵は生体解剖のとき助手をしていて、今でもこの家族にその時の体験を語り続けて、苦しみを紛らわしている。
突然、下の娘が帰ってくる。家族は彼女を受け入れるが、入院患者の青年と気が合うようだ。また出て行くのではないかと思われたが…。上演データ
上演データ
1963(昭38)年5月14日~21日
劇団青俳第11回公演
会場:俳優座劇場
演出:観世栄夫
装置:高田一郎
照明:篠原久
音楽:林光
効果:安田哲男
出演:岡田英次/原知佐子/蜷川幸雄/正城睦子/真山知子/高津住男/梅崎栄/他 -
1966
あの日たち
『テアトロ』1月号
九州のある炭坑町の郊外にあるメンタル・リハビリテーション・センター。ここには炭坑事故のとき、一酸化炭素中毒で記憶を失ってしまった元坑夫たち約200名が収容されている。記憶を取り戻すための様々な訓練が行われ、患者はそれぞれの過去を教えられ、覚え込まされているが、時々間違えてしまう。2年間治療は続けられたが、記憶は一向に回復しないままである。
ある日、新しい女性の訓練員がやって来る。何やら過去がありそうな女だが、ここには対照的に過去を失った患者しかいない。その中でも特に会社の名簿に載っておらず未だに身内が名乗り出ないため、名前すらわからない男がいる。
医者と看護婦・訓練員、患者と面会に訪れるその家族の間で〈過去〉の価値と意味をめぐって様々な会話が織りなされる…上演データ
上演データ
1966(昭41)年7月19日~27日
劇団青俳第17回公演
会場:俳優座劇場
演出:秋浜悟史
装置:朝倉攝
照明:立木定彦
出演:青木義朗/井上博一/植田峻/真山知子/和田愛子/金田大/蟹江敬三/岡田英次/木村功/高津住男/蜷川幸雄/豊田紀雄/織本順吉/斎藤晴彦/原知佐子/市川夏江/正城睦子/南祐輔/藤瑠美子/蔵一彦/松本紘一/三輪律子/犀川ひろみ/住吉正博/他 -
1967
かけがえのない日々
『シナリオ』通巻259号 1970年1月号
動物園の一隅。閉館時間の五時を過ぎ、園内のざわめきが引き潮のように遠のいていく中、係の男が二人、見回りを始める。
たいしたことは何も起こらない、せいぜい立て札の悪戯を発見するくらい。
「なんでもいい、何か変わったことさえ起こってくれたら……」、二人の男は、ライオンの檻を開け放つ。上演データ
上演データ
2004(平16)年2月7日~11日
NANYA-SHIP れぽっく・あべっく清水邦夫vol.1公演
会場:下北沢駅前劇場
演出:宮田慶子
出演:里村孝雄/平良政幸/南谷朝子
演奏:川崎晴美(キーボード)/鈴木ひさし(パーカッション)/立花泰彦(ベース) -
1968
真情あふるる軽薄さ
『テアトロ』1968年8月号
舞台から客席まで長い行列が蛇行して続いている。何かの切符を並ぶための行列らしいが、少しでも列を乱す者がいると整理員が飛んできて叩きのめすという異様な行列である。
毛糸編機を背中に背負った青年がやって来て、その行列の人々に対し罵倒し嘲り、挑発し、「飼い慣らされた」行列を壊そうとする。行列は彼を黙殺するが、一人の女が同調する。中年男がやってきて、青年をかばい、行列の人々からとりなしていたが…。上演データ
上演データ
1969(昭44)年9月10~22日
現代人劇場=新宿文化提携公演No.1
会場:新宿文化
曲:ビバルディ+三波春男
演出:蜷川幸雄
照明:宮崎純
音響:今泉芳春
音楽:岡部公甫
出演:蟹江敬三(青年)/真山知子(女0)/岡田英次(中年男)/瀬川哲也(男101)/梶原譲二(男102)/佐藤道江(女103)/豊田紀雄(男104)/石橋蓮司(男97)/吉田涼子(女91)/加藤真知子(女92)/坂口連(男100)/大森直人(男105)/佐々倉英雄(男106)/吉田潔(男89)/青山達也(男96)/角間進(男93)/井上博一(男90)/加藤修(男98)/田所陽子(女88)/戸川暁子(女86)/他 -
1969
狂人なおもて往生をとぐ―昔 僕達は愛した―
『テアトロ』1969年3月号
ピンクの照明が妖しげに光る娼家。大学教授と名乗る初老の男はここの女主人の客である。そして青年は女主人のヒモで、ここから逃げようとしているが、彼女の優しさから逃れられない。この娼家には若い娼婦もいて、彼女の客である若い男もやって来る。
彼ら5人はまるでここが一つの家族であるかのようなゲームを始める。初老の男が父親、女主人が母親、青年が長男、若い女が長女、若い男が次男。ところがそのゲームとは…?上演データ
上演データ
1969(昭44)年3月9日~29日
俳優座第91回公演
会場:俳優座劇場
演出:西木一夫
装置:安部真知
照明:染谷幸典
効果:田村悳
衣裳:若生昌
出演:永井智雄/原田芳雄/古谷一行/村瀬幸子/清水良英/片山真由美